高校生のうちにできる進学資金の貯め方|自助努力でできることまとめ

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堀 智紀(塾長)|現役学習塾経営者・FP3級取得。宮崎市で「15歳からはじめるお金の勉強」をコンセプトにHORI塾+を運営。
教育者という中立の立場から、お金の知識を発信しています。

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「進学費用は親が準備するもの」——そう思い込んでいませんか。実は、高校生自身にも、進学資金づくりのためにできることがいくつもあります。

アルバイトによる収入はもちろん、お小遣いの使い方の工夫、そして高校生でも参加できる制度の活用まで、自助努力の選択肢は意外と多くあります。学校によってはアルバイトが禁止・許可制になっている場合もありますが、それでも今の自分にできることを知っておくことには大きな意味があります。

この記事では、高校生のうちから始められる進学資金の貯め方を、具体的な方法とともに解説します。読み終える頃には、自分にもできることがあるという前向きな気持ちで、進学資金の準備に取り組めるようになっているはずです。

進学資金の不安はなぜ生まれる?高校生の家庭が直面するお金の現実

「進学資金、うちは本当に足りるのだろうか」——高校生になった子どもを持つ家庭の多くが、一度はこの不安に直面します。まずは、この不安の正体を具体的な数字で確認し、その上で今からでも間に合う理由を整理していきましょう。

大学進学にかかる費用の全体像|入学金・授業料・生活費まで試算してみよう

「学費だけ準備すればいいのでは」——実は、これだけでは進学にかかる本当の総費用は見えてきません。ここでは、統計データをもとに費用の全体像を確認していきましょう。

日本政策金融公庫の調査によれば、高校入学から大学卒業までにかかる入学・在学費用の平均は942.5万円とされています。大学の年間在学費用だけを見ても、国公立大学で約103.5万円、私立大学文系で約152.0万円、私立大学理系で約183.2万円と、進路によって大きな差があります。さらに、自宅を離れて一人暮らしをする場合は、初期費用として40万〜50万円程度、月々の生活費として全国平均約13万円が加わります。

  • 学費:進路によって年間100万〜180万円台
  • 入学時の一時費用:入学金・受験費用に加え、一人暮らしなら初期費用も
  • 在学中の生活費:一人暮らしの場合、月々十数万円が継続的にかかる

これらを合算すると、進路によっては大学4年間だけで数百万円から1,000万円規模になることが見えてきます。この見える化こそが、漠然とした不安を、具体的に対処できる課題に変える出発点です。

参考:教育費に関する調査結果

「奨学金に頼ればいい」が危険な理由|返済負担が子どもの将来を圧迫する

「足りない分は奨学金でなんとかなる」——この考え方には、以前の記事でも紹介した見落としがちなリスクがあります。ここでは、そのリスクをあらためて整理しておきましょう。

貸与型奨学金は、子ども自身が卒業後に返済していくお金です。大学学部生の平均貸与総額は313万円、平均返還年数は15年というデータもあり、返済は社会人1年目の、収入がまだ安定しない時期から始まります。奨学金があるから大丈夫と安易に借入額を増やしてしまうと、卒業後の子どもの生活を長期にわたって圧迫することになりかねません。

  • 奨学金はもらうお金ではなく将来子どもが返すお金であることを、まず正確に理解する
  • 借入額が増えるほど、卒業後の月々の返済負担も比例して重くなる
  • 奨学金に頼る以外の選択肢を、できるだけ早い段階から検討しておく必要がある

だからこそ、奨学金だけに頼らず、高校生のうちからできる自助努力を組み合わせておくことが、卒業後の子どもの負担を軽くする現実的な対策になります。

高校入学時点で準備が遅い?今からでも間に合う理由を知っておこう

「もっと早くから準備しておけばよかった」——高校生になってから焦る保護者の方は少なくありませんが、実は今からでも十分に間に合います。ここでは、残された期間でできることを整理していきましょう。

以前の記事で紹介した逆算の考え方を使うと、高校1年生から大学入学までは、およそ3年間(36か月)の準備期間が残っています。この期間でも、家庭での積立に加えて、高校生本人が主体的に取り組める方法を組み合わせることで、準備のペースを上げることができます。

  • 家庭での積立(貯蓄・学資保険・新NISAなど)に加えて、本人ができる取り組みを組み合わせる
  • 高校生自身がアルバイトなどで収入を得て、貯金に回すことも選択肢の一つになる(学校の規則の範囲内で)
  • お小遣いの使い方を見直すだけでも、月数千円〜1万円程度の差が生まれることがある

もう遅いと諦めるのではなく、残された期間でできることを一つずつ積み上げていくという前向きな姿勢が、この時期には何より大切です。次の章では、高校生自身が実践できる具体的な方法を紹介していきます。

参考:日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」

参考:日本学生支援機構(JASSO)「奨学金事業に関するデータ集」

高校生のうちにできる進学資金の貯め方|家庭でできる自助努力の基本

進学資金の準備には、正解が一つではありません。ここでは、家庭でできる基本的な貯め方から、高校生本人が主体的に取り組める方法まで、具体的に紹介していきます。

毎月いくら貯めれば足りる?逆算で考える進学資金の目標設定法

「とりあえず貯められるだけ貯めよう」——この曖昧な目標設定こそが、準備の遅れにつながりやすい原因です。ここでは、具体的な逆算の考え方を見ていきましょう。

大切なのは、以前の記事でも紹介した目標額÷準備期間=月々の必要額という逆算の考え方です。高校1年生から大学入学までの3年間(36か月)で、例えば入学時の一時費用として100万円を準備したい場合、月々の目標額は次のように計算できます。

例えば、目標金額100万円の場合

目標額100万円 ÷ 36か月 = 月々約2万8,000円

このうち、家庭からの積立でいくら賄うか、本人の貯金でいくら賄うかを、あらかじめ話し合っておく

高校生からのスタートでは、以前の記事で紹介した小学生からのスタートに比べて、月々の負担は大きくなります。だからこそ、家庭の積立と本人の努力を組み合わせることで、現実的な目標額に調整していくことが重要です。

子ども名義の口座・積立定期を活用した見える化貯蓄のすすめ

「頑張って貯めているつもりなのに、実感が湧かない」——これは、貯めているお金が見える化されていないことが原因かもしれません。ここでは、貯蓄を見える化する具体的な工夫を紹介します。

子ども名義の口座を用意し、進学資金専用として積立定期預金などを活用することで、これは進学のためのお金だという目的意識を、子ども自身にも持たせやすくなります。

  • 子ども名義の口座を、生活費用の口座とは別に用意し、進学資金専用にする
  • 毎月決まった金額を自動的に積み立てる積立定期預金を活用し、意志の強さに頼らず継続できる仕組みを作る
  • 通帳やアプリの残高を、定期的に親子で一緒に確認し、これだけ貯まったという達成感を共有する

貯まっていく金額を実際に目で見ることは、なんとなく頑張るから具体的な目標に向かって進んでいるという実感に変わります。この実感の積み重ねが、進学資金づくりへのモチベーションを支えます。

高校生本人がアルバイトで貯める場合の注意点と親のサポートの役割

「アルバイトで自分の力で貯めてほしい」——この気持ちを実現するには、いくつか押さえておきたい注意点があります。ここでは、高校生のアルバイトに関する基本的なルールと、親としての関わり方を見ていきましょう。

高校生のアルバイトは法律で禁止されているわけではありませんが、学校によってはアルバイトを禁止・許可制にしているケースが多く、特に進学校ではその傾向が強くみられます。アルバイトを検討する場合は、まず学校の規則を確認し、必要であれば許可を得る手続きが必要です。また、18歳未満は労働基準法により、深夜(原則22時〜翌5時)の労働が制限されるなど、成人とは異なるルールが適用される点にも注意が必要です。

  • まず学校の校則を確認し、アルバイトが可能かどうか、許可制であれば手続きの方法を確認する
  • 学業や体調に支障が出ない範囲の勤務時間・頻度に留めることを、親子であらかじめ約束しておく
  • 稼いだお金の使い道(進学資金・お小遣い・貯蓄)について、あらかじめ配分のルールを話し合っておく

親の役割は、稼ぎなさいと一方的に求めることではなく、無理のない範囲でサポートすることです。学業との両立が難しくなっていないか、稼いだお金が計画的に貯蓄に回っているかを、時々確認しながら見守る姿勢が大切です。次の章では、アルバイト以外の具体的な方法についても紹介していきます。

参考:労働基準法のあらまし(最低年齢、深夜業の禁止、年少者・妊産婦等の就業制限 ほか) | 茨城労働局

参考:高校生のバイトにはアルバイト許可証が必要?校則で禁止される理由 | Gakken高等学院

進学資金を増やす選択肢とは?|制度・運用を味方につけた貯め方

貯金だけに頼らず、活用できる制度を組み合わせることで、進学資金の準備はより効率的になります。ここでは、資産形成の制度、給付型奨学金、そして高校生からでも検討できる商品について整理していきます。

ジュニアNISAは終了でも積立NISAが使える|18歳以降の資産形成への橋渡し方

「ジュニアNISAで子どもの資産を増やそう」——実はこの制度は、2023年末で新規の口座開設・投資が終了しており、これから始めることはできません。ここでは、代わりに検討できる選択肢を整理していきましょう。

一方で、18歳になれば、本人名義で新NISAの口座を開設できるようになります。つまり、高校生の間は保護者名義で積立を続け、子どもが18歳になったタイミングで、本人名義の新NISAへの橋渡しを検討するという流れが、現実的な選択肢になります。

なお、2026年度の税制改正により、新NISAのつみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、2027年1月以降、0〜17歳の未成年でも利用できるようになる予定です(いわゆるこどもNISA。年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円)。ただし12歳未満は払い出しに制限があるなど、詳細な条件については今後の公式発表を確認する必要があります。

  • 高校生のうちは、保護者名義の新NISAや預貯金で計画的に積み立てておく
  • 2027年1月以降に導入予定のこどもNISA、または18歳になったタイミングでの本人名義の新NISA口座開設を検討する(制度の最新情報を要確認)
  • 大学進学までの期間が短い(2〜3年程度)場合、値動きのある運用より、元本割れリスクの低い貯蓄を中心に考えるほうが無難な場合もある

※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。制度の詳細や開始時期は変更される可能性があるため、金融庁の公式サイトで最新情報をご確認ください。

参考:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」

給付型奨学金・高等教育無償化制度を最大限に活用するための所得・成績管理

「奨学金は借りるもの」というイメージが強いかもしれませんが、返済不要の給付型奨学金を活用できれば、進学資金の負担を大きく減らせます。ここでは、給付型奨学金の基準について整理していきましょう。

JASSOの給付型奨学金には、世帯の所得基準に加えて、成績に関する基準も設けられています。入学後1年未満の場合は、高校在学中の評定平均値が3.5以上であること、または入学者選抜試験の成績が上位2分の1に入っていることなどが基準となります。入学後1年以上経過した場合(在学採用)は、累計GPAが在学する学部等の上位2分の1に入っていることが一つの目安とされ、これに満たない場合でも、必要な単位数を修得し、学修意欲が確認できれば対象になり得るとされています。

  • 高校在学中の成績(評定平均値3.5以上など)も、進学時の奨学金の予約採用において確認される項目の一つになる
  • 世帯の所得基準は、令和6年度以降、多子世帯や理工農系の中間層まで対象が拡大されるなど、年々見直されている
  • 「うちは対象外だろう」と諦めず、まず日本学生支援機構の公式サイトで最新の基準を確認してみる

高校生のうちから学業にしっかり取り組むこと自体が、進学資金の負担を軽くする準備の一つになり得るという視点は、意外と見落とされがちです。

学資保険は今さら遅い?高校生からでも検討できる短期型積立商品の選び方

「学資保険は、赤ちゃんの頃に入るものでは?」——確かに、以前の記事で紹介したとおり、学資保険は加入時期が早いほど条件面で有利になります。高校生からの新規加入は、積立期間が短く、保険としてのメリットを十分に活かしにくい面があります。ここでは、この時期に検討したい代替の選択肢を紹介します。

高校生の時期から進学資金を準備する場合は、学資保険よりも、元本割れのリスクが低い短期の貯蓄手段を中心に検討するほうが現実的な場合が多くあります。

  • 定期預金・積立定期預金:短期間でも、着実に貯められる基本的な選択肢
  • 財形貯蓄(保護者が勤務先で利用できる場合):給与天引きで自動的に積み立てられる仕組み
  • 学資保険は、進学までの期間が短い場合、途中解約による元本割れのリスクを避けるため、慎重に検討する

進学までの期間が短いこの時期は、増やすことよりも確実に貯めることを優先するのが基本的な考え方です。

※本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。制度の詳細は各公式機関のサイトでご確認いただくとともに、最終的な判断はファイナンシャルプランナーなど専門家にもご相談ください。

参考:大学生等の皆さんへ – 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度:文部科学省

参考:進学後(在学採用)の給付奨学金の学力基準 | JASSO

お金の話を親子でできる家庭が進学資金を貯められる理由

これまで紹介してきた貯め方や制度は、いずれも知っているかどうかが結果を左右します。そして、その知識を家庭内でしっかり共有できているかどうかが、実際の準備の進み具合に大きく影響します。最後に、お金の話をオープンにできる家庭づくりについて見ていきましょう。

大学費用いくらかかるの?子どもと一緒に試算する家族会議のやり方

「進学費用の話は、親だけで進めるもの」——実は、この考え方こそが、準備を遅らせる原因になっていることがあります。ここでは、親子で一緒に取り組む家族会議のやり方を紹介します。

高校生であれば、これまでの記事で紹介した学費・生活費の数字を、十分に理解できる年齢です。一緒に試算するというプロセスそのものが、子ども自身の当事者意識を育てるきっかけになります。

  • 進学希望先(国公立・私立、自宅通学・一人暮らしなど)を仮に決めて、必要な総費用を一緒に電卓で計算してみる
  • 現在の貯蓄額と今後貯められる見込み額を照らし合わせ、不足額を一緒に確認する
  • 不足額をどう埋めるか(奨学金、アルバイト、進路の見直しなど)を、家族で率直に話し合う

この家族会議は、一度で終わらせず、進路が具体化するたびに、定期的に更新していくことをおすすめします。数字を共有し続けることで、子ども自身も自分ごととして進学資金と向き合えるようになります。

高校生が自分で家計を把握する習慣づくり|お小遣い帳から始めるお金の教育

「アルバイトや貯金の前に、まず身につけておきたい習慣がある」——それが、自分のお金の流れを把握する習慣です。ここでは、家計管理の習慣づくりについて見ていきましょう。

お小遣い帳や家計簿アプリを使って、収入(お小遣い・アルバイト代)と支出を記録する習慣は、進学資金づくりの土台になります。今月いくら使って、いくら貯められたかを可視化することで、無駄遣いに気づきやすくなり、貯蓄のペースも安定しやすくなります。

  • お小遣い帳や家計簿アプリを使い、収入と支出を毎月記録する習慣をつける
  • 進学資金・日常のお小遣いなど、目的別にお金を分けて管理する意識を持たせる
  • 月末に、収支を親子で一緒に振り返る時間を作る(数分程度で十分)

この習慣は、進学資金づくりのためだけでなく、大学生・社会人になってからの家計管理能力の土台にもなります。高校生のうちに身につけておく価値は、金額の大小にかかわらず大きいといえます。

進路選択とお金をセットで考える|国公立・私立・専門学校の費用差を子どもに伝える

「行きたい学校を自由に選ばせたい」という気持ちと、「費用面の現実も伝えなければ」という気持ち——このバランスに悩む保護者は少なくありません。ここでは、進路とお金をどう一緒に伝えるか、その考え方を紹介します。

大切なのは、お金の話を、進路選択を制限するためではなく、納得感を持って選ぶための材料として伝えることです。以前の記事でも紹介したとおり、国公立大学と私立大学理系では、4年間で数百万円単位の差が生まれます。専門学校も選択肢に含めれば、費用と学びの内容の組み合わせはさらに多様になります。

  • 国公立・私立・専門学校、それぞれの費用の目安を、具体的な数字で子どもに伝える
  • 「費用が高いから諦めなさい」ではなく、「この選択肢だと、こういう準備が必要になる」と伝える
  • 子ども自身が学びたい内容と、費用面の現実を、両方の視点から一緒に検討する

進路とお金をセットで考えることは、子どもにとって、限られた資源の中で最善の選択をする力を育てる、またとない機会になります。高校生のうちからこうした対話を重ねてきた家庭ほど、進学資金の準備がスムーズに進みやすいのは、単に貯蓄額の差だけでなく、家族全体が同じ目標に向かって協力できているからにほかなりません。

まとめ:高校生からでも遅くない|親子で動き出せば進学資金は備えられる

進学にかかる総費用を具体的な数字で把握すると、確かに大きな金額に感じられます。しかし、高校1年生からでも、大学入学までにはまだ3年間の準備期間が残されています。もう遅いと諦めるか、今からできることを積み上げると捉えるかで、結果は大きく変わります。

家庭での積立に加え、子ども名義の口座での見える化、学校の規則内でのアルバイト、給付型奨学金や無償化制度の活用を組み合わせれば、貯蓄だけに頼らない資金計画を立てられます。何より大切なのは、これらを親子でオープンに話し合いながら進めることです。今日から、できることを一つずつ始めてみてください。