祖父母からの教育資金援助は非課税?一括贈与終了後の受け取り方

how-receive-educational-financial-assistance 保険・税金
この記事を書いた人
堀
堀

堀 智紀(塾長)|現役学習塾経営者・FP3級取得。宮崎市で「15歳からはじめるお金の勉強」をコンセプトにHORI塾+を運営。
教育者という中立の立場から、お金の知識を発信しています。

堀をフォローする

「孫の進学費用を少し援助したい」——祖父母からこうした申し出を受けたとき、ありがたく思う一方で、税金のことが気になる家庭も多いのではないでしょうか。

祖父母から孫への教育資金の援助は、渡し方によっては贈与税がかからない場合もあれば、まとめて受け取ったことで課税の対象になってしまう場合もあります。さらに、祖父母などから孫などへ、最大1,500万円まで非課税で一括贈与できた「教育資金一括贈与の特例」は、2026年3月31日をもって終了し、同年4月以降は、新たな契約や追加の拠出ができなくなりました。これから援助を受ける家庭にとっては、制度が変わった今だからこそ、正しい受け取り方を知っておくことが大切です。

祖父母からの教育資金援助にかかる贈与税の基本ルールと、一括贈与の特例が終了した後に使える受け取り方を整理します。税金の扱いは家庭ごとの事情によって変わるため、具体的な判断に当たっては、税務署や税理士にも確認しながら進めてください。

祖父母からの教育資金援助、どんな場合に贈与税がかかる?

祖父母からの援助を受けるときにまず知っておきたいのが、どのような場合に贈与税がかかり、どのような場合にかからないのかという基本的な考え方です。ここでは、贈与税の基本ルールと、教育費が非課税になる仕組み、課税されやすいケースを順に整理していきます。

もらったお金にも贈与税がかかる?贈与税の基本ルール

贈与税は、個人から財産をもらったときに、もらった側にかかる税金です。祖父母から孫へのお金の援助も、原則として贈与に当たります。

贈与税の基本となる暦年課税では、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から、基礎控除の110万円を差し引いた残りの金額に税金がかかります。つまり、1年間にもらった金額の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も必要ありません。

ここで注意したいのは、110万円の基礎控除は、あげた人ごとではなく、もらった人ごとに計算されるという点です。たとえば、父方と母方の両方の祖父母から援助を受けた場合は、それぞれからもらった金額を合計して判定します。

  • 贈与税は、財産をもらった人にかかる
  • 1年間にもらった合計額が110万円を超えると、超えた部分に税金がかかる
  • 複数の人から受け取った場合は、合計額で判定する

ただし、すべての贈与に税金がかかるわけではありません。次に紹介するように、教育費として必要なお金については、一定の条件のもとで贈与税がかからない仕組みが設けられています。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

教育費の都度払いはなぜ非課税になるのか

国税庁は、夫婦や親子、祖父母と孫など、扶養義務者の間で、生活費や教育費に充てるために取得した財産のうち、通常必要と認められるものには贈与税がかからないと定めています。祖父母が孫の学費を援助する場合も、この扱いの対象になり得ます。

ポイントとなるのは、この非課税の扱いが、生活費や教育費として「必要な都度、直接これらに充てるためのもの」に限られているという点です。たとえば、入学金や授業料の支払いが必要になったタイミングで、その金額を祖父母に負担してもらう形であれば、教育費として非課税で受け取ることができます。

  • 対象になるのは、扶養義務者の間で、教育費に充てるために必要な都度受け取るお金
  • 入学金、授業料、教材費など、実際に必要になった費用に充てる
  • 支払いの必要が生じたタイミングで、必要な金額を受け取る

学校などに祖父母から直接振り込んでもらうと、教育費に充てたことが明確になり、後から説明しやすくなります。ただし、非課税になるかどうかの本質は振込先ではなく、受け取ったお金を実際に教育費に充てているかどうかにあります。

まとめて渡すと課税されることも——非課税にならない典型的なケース

教育費の名目で受け取ったお金であっても、受け取り方や使い方によっては、贈与税の対象になってしまうことがあります。国税庁は、教育費の名目で贈与を受けた場合でも、それを預金したり、株式や不動産などの購入資金に充てたりしている場合には、贈与税がかかるとしています。

非課税にならない典型的なケースとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 数年分の学費をまとめて受け取り、使うまで預金しておく
  • 教育費として受け取ったお金を、投資や住宅購入など、教育以外の用途に使う
  • 教育費として通常必要と認められる範囲を大きく超える金額を受け取る

特に注意したいのが、「将来の学費のために」と、まとまった金額を先に受け取っておくケースです。孫を思う気持ちから出た援助であっても、受け取った時点で教育費に充てられていなければ、通常の贈与として扱われ、ほかの贈与とあわせて年間110万円を超えた部分には贈与税がかかります。

援助を受ける際は、必要になったときに、必要な分だけを基本に考えることが、思わぬ課税を避けるためのポイントです。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談しながら進めると安心です。次の章では、2026年3月に終了した教育資金一括贈与の特例について整理します。

参考:No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

教育資金一括贈与の特例は2026年3月で終了——今知っておきたいこと

祖父母からの教育資金援助を調べると、「最大1,500万円まで非課税」という制度を目にすることがあります。しかし、この教育資金一括贈与の特例は、2026年3月31日をもって終了し、新たな契約や追加の拠出ができなくなりました。ここでは、制度の概要と、すでに利用している家庭、これから援助を受ける家庭それぞれへの影響を整理します。

教育資金一括贈与の特例とはどんな制度だったのか

教育資金一括贈与の特例は、2013年4月に始まった時限的な制度です。父母や祖父母などの直系尊属が、30歳未満の子や孫に教育資金をまとめて贈与した場合に、一定額まで贈与税が非課税になるというものでした。

制度の主な内容は、次のとおりです。

  • 贈与する人:父母や祖父母などの直系尊属
  • 贈与を受ける人:30歳未満の子や孫(前年の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件)
  • 非課税となる金額:受贈者1人につき最大1,500万円(学校等以外への支払いは500万円まで)
  • 手続き:金融機関と教育資金管理契約を結び、専用の口座で管理する

この制度では、まとまった資金をあらかじめ専用口座に入れておき、学費などを支払った際に領収書を金融機関に提出して、口座からお金を引き出す仕組みになっていました。何度か延長されてきましたが、資産の多い家庭ほど恩恵を受けやすいことへの懸念などが指摘される中で、令和8年度税制改正で延長されないことが決まり、2026年3月31日で新規の契約と追加の拠出が終了しました。

すでに利用している家庭は要確認——残額と課税のルール

制度が終了したといっても、2026年3月31日までにこの特例を利用して預け入れた資金については、引き続き制度の対象として扱われます。すでに専用口座を持っている家庭は、これまでどおり教育費の支払いに使うことができます。

ただし、いくつか注意しておきたいルールがあります。

  • 受贈者が30歳になった時点で口座に残っている金額には、原則として贈与税がかかる(30歳時点で学校等に在学している場合などは、最長40歳まで継続できる)
  • 2023年4月1日以降に預け入れた分の残額に贈与税がかかる場合は、一般税率が適用される
  • 贈与した祖父母などが亡くなった場合、一定の条件のもとで、口座の残額が相続税の対象になる
  • 23歳以上の受贈者の場合、習い事などの学校等以外への支払いは、原則として非課税の対象外になる

特に、30歳時点の残額への課税は見落とされやすい点です。口座にどのくらいの金額が残っているのか、今後の進学予定でどの程度使う見込みがあるのかを、一度確認しておくと安心です。詳しい要件は複雑なため、口座を開設した金融機関や税理士に確認することをおすすめします。

制度終了で何が変わる?これから援助を受ける家庭への影響

制度が終了したことで、これから祖父母から援助を受けようとする家庭は、まとまった金額を一度に非課税で受け取ることができなくなりました。とはいえ、祖父母からの教育資金の援助そのものができなくなったわけではありません。

これから援助を受ける家庭にとって、主な変化は次のとおりです。

  • 1,500万円までを一括で非課税にする方法は使えなくなった
  • 教育費を必要な都度受け取る形であれば、これまでどおり非課税で受け取ることができる
  • まとめて受け取りたい場合は、暦年贈与や相続時精算課税など、ほかの方法を検討する必要がある

前の章で紹介したとおり、教育費は、必要になったときに必要な分だけ受け取る形であれば、もともと贈与税がかからない仕組みになっています。一括贈与の特例は、この仕組みとは別に、先にまとめて資金を移しておけるという点で使われてきた制度でした。

制度が終了した今、大切なのは、援助の目的とタイミングに合わせて、受け取り方を選ぶことです。次の章では、一括贈与の特例が終了した後に使える具体的な受け取り方を紹介します。

参考:No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

参考:目次 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合 の贈与税の非課税に関するQ&A 資金F

一括贈与終了後に使える、祖父母からの教育資金援助の受け取り方

教育資金一括贈与の特例が終了した後も、祖父母からの援助を受け取る方法はいくつかあります。ここでは、代表的な3つの方法について、それぞれの仕組みと注意点を整理します。どの方法が合っているかは、援助の金額やタイミング、家族の状況によって変わります。

必要な都度、学費などに充ててもらう都度払いの進め方

祖父母からの教育資金援助で、基本となるのが都度払いです。入学金や授業料など、教育費の支払いが必要になったタイミングで、その金額を祖父母に負担してもらう方法で、教育費として通常必要と認められる範囲であれば、年間110万円を超える場合でも贈与税はかかりません。

都度払いをスムーズに進めるためには、次のような点を意識しておくとよいでしょう。

  • 支払いが必要になった時点で、その費用の分だけを援助してもらう
  • 可能であれば、祖父母から学校などへ直接振り込んでもらう
  • 親が受け取って支払う場合は、受け取ったお金をすぐに教育費の支払いに充てる
  • 請求書や領収書、振込の記録を保管しておく

都度払いは、特別な申請などの手続きも必要なく、取り入れやすい方法です。一方で、援助してくれる祖父母が元気なうちに、まとまった資金を移しておくことはできません。進学のタイミングごとに援助をお願いすることになるため、あらかじめ家族で、どの費用をどのくらい援助してもらうのかを話し合っておくと安心です。

年110万円の基礎控除を活用する暦年贈与と、相続時の注意点

教育費の都度払いとは別に、まとまったお金を受け取りたい場合に使われるのが暦年贈与です。1年間にもらった金額の合計が110万円以下であれば贈与税はかからず、受け取ったお金の使い道も自由です。110万円を超える場合でも、祖父母から18歳以上の孫への贈与には、一般の税率より低い特例税率が適用されます。

ただし、暦年贈与には次のような注意点があります。

  • 毎年同じ時期に同じ金額を贈与する約束をしていると、最初から総額を贈与したとみなされる可能性がある
  • 孫名義の口座にお金を入れていても、通帳や印鑑を祖父母や親が管理し、孫自身が使えない状態だと、贈与と認められないことがある
  • 2024年1月1日以降の贈与からは、相続の開始前に受けた贈与を相続財産に加算する期間が、3年から7年へと段階的に延長されている

最後の点については、加算の対象になるのは、相続や遺贈によって財産を受け取った人に限られます。そのため、孫が祖父母の相続で財産を受け取らない場合は、祖父母から孫への暦年贈与は、原則としてこの加算の対象になりません。一方、遺言で孫にも財産を残す場合や、孫が祖父母の生命保険の死亡保険金の受取人になっている場合などは、加算の対象になることがあるため、相続の計画とあわせて考える必要があります。

暦年贈与は、毎年の贈与ごとに、贈与する側ともらう側の双方が合意していることが前提です。贈与契約書を作成し、受け取ったお金は孫自身の口座で管理するなど、記録を残しておくことが大切です。

相続時精算課税制度という選択肢と、選ぶ前に知っておきたいこと

もう一つの選択肢が、相続時精算課税制度です。60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与について選択できる制度で、累計2,500万円までの特別控除を受けることができます。2024年1月1日以降の贈与からは、特別控除とは別に年110万円の基礎控除が設けられ、この範囲内の贈与であれば申告の必要もなくなりました。ただし、この制度を選ぶ最初の年には、相続時精算課税選択届出書を税務署に提出する必要があります。

この制度の特徴は、次のとおりです。

  • 年110万円の基礎控除を超えた部分は、累計2,500万円までは贈与税がかからない
  • 2,500万円を超えた部分には、一律20%の贈与税がかかる
  • 贈与した人が亡くなったときに、基礎控除を除いた贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算する
  • 年110万円の基礎控除の範囲内の贈与は、相続財産に加算されない

一方で、選ぶ前に必ず知っておきたい点もあります。相続時精算課税制度は、一度選択すると、その贈与者からの贈与については暦年贈与に戻すことができません。また、受け取る側が18歳以上であることが条件のため、小学生や中学生の孫には利用できません。さらに、孫が祖父母から相続時精算課税で贈与を受けた場合、その財産は祖父母の相続の際に相続財産に加えられ、孫が負担する相続税は2割加算の対象になることがあります。

相続時精算課税制度は、教育資金の援助だけでなく、祖父母の相続全体に関わる制度です。選択するかどうかは、相続財産の規模や家族構成によって判断が大きく変わるため、利用を検討する場合は、税理士などの専門家に相談した上で決めることをおすすめします。次の章では、祖父母からの援助を家族で話し合うときのポイントを紹介します。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

参考:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁

参考: No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

祖父母からの援助を家族で話し合うときのポイント

祖父母からの教育資金援助は、税金のルールを知るだけでなく、家族の間で目的や進め方を共有しておくことが大切です。ここでは、子どもの年齢に応じた受け方の考え方と、家族で話し合うときのコツ、そして援助を子どものお金の教育につなげる方法を紹介します。

子どもの年齢・進学プランで考える援助の受け方

どの方法で援助を受けるのが合っているかは、子どもの年齢や、これからの進学プランによって変わります。前の章で紹介した3つの方法を、子どもの年齢に当てはめて考えてみましょう。

  • 小学生・中学生:都度払いを基本に、必要に応じて暦年贈与を組み合わせる。相続時精算課税は18歳以上が対象のため利用できない
  • 高校生:大学の入学金など、まとまった支出に向けて都度払いの計画を立てておく。暦年贈与を受ける場合は、使い道と管理方法を家族で確認しておく
  • 18歳以上:都度払いと暦年贈与に加えて、相続時精算課税制度も選択肢に入る。ただし相続全体に関わるため、専門家に相談した上で判断する

なお、子どもが未成年のうちに暦年贈与を受ける場合は、親権者が子どもに代わって贈与を受け入れる形になります。贈与契約書を作成し、子ども名義の口座で管理するなど、手続きを丁寧に進めておくことが大切です。子どもが成長したら、通帳などの管理を子ども自身に引き継いでいくことも、子どもの財産であることを明確にする上で役立ちます。

進学プランが見えている場合は、いつ、どの費用に、どのくらいの援助を受けるのかを書き出しておくと、受け取り方を判断しやすくなります。教育費の全体像を把握した上で、祖父母からの援助をどこに充てるかを考えると、無理のない計画になります。

祖父母・親・子の三者でスムーズに話し合うコツ

祖父母からの援助は、孫を思う気持ちから生まれるものです。その気持ちを大切にしながら、援助の内容を三者で共有しておくことで、後から行き違いが生まれるのを防ぐことができます。

話し合いをスムーズに進めるためには、次のような点を意識するとよいでしょう。

  • 援助の目的を確認する(学費全般か、入学金など特定の費用か)
  • 援助してもらう時期と、おおよその金額を共有する
  • 都度払いにするのか、まとめて受け取るのかなど、受け取り方を決めておく
  • きょうだいやいとこがいる場合は、援助の考え方に差が出ないよう配慮する

お金の話は、親から祖父母に切り出しにくいと感じることもあるかもしれません。その場合は、「税金のルールが変わったので、受け取り方を一緒に確認したい」といった形で、制度の確認をきっかけに話し始めると、自然に話題にしやすくなります。

また、祖父母自身の老後の生活資金に無理がないかどうかも、大切な確認点です。援助を受ける側として、祖父母の暮らしを圧迫しない範囲でお願いする姿勢を持っておくことが、長くよい関係を保つことにつながります。

援助をきっかけに、子どもとお金の価値を話し合う

祖父母からの教育資金援助は、子どもにとって、家族の思いがお金という形で届く経験でもあります。この機会を、子どもとお金の価値について話し合うきっかけにしてみましょう。

子どもの年齢に応じて、次のようなことを伝えるとよいでしょう。

  • 学費の一部を、祖父母が援助してくれていること
  • そのお金は、祖父母が長い時間をかけて働いて貯めてきたものであること
  • 援助への感謝を、手紙や近況の報告などで伝えること

援助の金額を詳しく伝える必要はありません。大切なのは、自分の学びが家族に支えられていることを、子ども自身が知ることです。お金には、受け取る人を応援する気持ちが込められていることを実感する経験は、子どもがお金を大切に扱う姿勢を育てるきっかけになります。

税金のルールを正しく理解した上で、家族で話し合い、子どもともその思いを共有していくこと。それが、祖父母からの援助を、教育費の負担を軽くするだけでなく、家族の絆とお金の教育にもつながるものにしていくポイントです。

まとめ:祖父母からの教育資金援助は、制度を正しく知って家族で話し合おう

祖父母からの教育資金援助は、必要な都度、学費などに充てる形であれば贈与税はかかりませんが、まとめて受け取って預金すると課税の対象になることがあります。最大1,500万円まで非課税だった教育資金一括贈与の特例は、2026年3月で終了し、新たな契約や追加の拠出ができなくなったため、これからは都度払いを基本に、暦年贈与や相続時精算課税を状況に応じて検討することになります。

受け取り方を決める際は、子どもの年齢や進学プランを踏まえ、祖父母・親・子で目的や時期を共有しておくことが大切です。判断に迷う場合は税務署や税理士に相談しながら、家族の思いが届く形で援助を受け取りましょう。