「子どもがアルバイトを始めたけど、税金のことを何も教えていなかった…いくら稼いだら問題になるの?」と不安になったことはありませんか?
高校生がアルバイトを始めると、最初の給与明細で所得税が引かれているという事実に直面します。なんで引かれているのか・確定申告とは何か・一定額を超えたらダメと聞いたけどどういうことか——子どもからこうした疑問が出たとき、正確に答えられる親御さんは意外と少ないものです。
知らないまま放置すると、払いすぎた税金を取り戻せない・親の扶養から外れて家族の税負担が増える・住民税が突然請求されて慌てるという実際のトラブルにつながります。税金の仕組みを事前に知っておくことが、高校生のアルバイトを安心して続けるための重要な準備です。
この記事では、次の3つを解説します。
- 高校生のアルバイト収入に関わる所得税・住民税の仕組みと、2025年税制改正後の非課税ライン(123万円)・社会保険の壁(130万円)という2つの重要なライン
- 扶養控除・確定申告・源泉徴収という税金の基本用語の意味と、高校生に直結する実践的な知識
- いくらまで稼いでいいかを家族で確認するための具体的な計算方法と会話のヒント
知っているかどうかで手取りが変わる——それが税金の現実です。一緒に確認していきましょう。
高校生がバイトを始める前に知っておきたい「税金の基本」
そもそも税金ってなに?バイト代にもかかるの?
税金は働いている大人が払うものというイメージを持つ高校生は多いですが、アルバイトで収入を得た瞬間から、高校生も税金と無縁ではなくなります。まず税金とは何か・なぜかかるかという基本から整理しましょう。
税金とは、道路・学校・病院・救急車・ゴミ収集など一人では用意できない公共サービスを社会全体で支えるために、国民が納めるお金です。収入を得た場合、その収入に対して税金が課せられる仕組みになっています。
バイト代は自分で稼いだお金なのに税金がかかるのか、という疑問は自然です。答えは「かかる場合がある」です。高校生のアルバイト収入は、金額によって税金がかかるかどうかが変わります。
消費税はすでに身近な存在です。コンビニでジュースを買うときの10%がそれにあたります。アルバイトの給料には消費税はかかりませんが、代わりに所得税という別の税金がかかることがあります。この違いを最初に押さえておくと、給与明細の見方が理解しやすくなります。
高校生でも払う可能性がある「所得税」と「住民税」のしくみ
アルバイト収入に関わる主な税金は所得税と住民税の2つです。それぞれの仕組みを整理します。
所得税(国税)
働いて得た収入(所得)にかかる税金で、国に納めます。給料から毎月自動的に差し引かれる「源泉徴収」という形で徴収されるため、自分で納付手続きをする必要はありません。
税制改正により所得税の非課税ラインが引き上げられています。2025年分(2025年1〜12月の収入)は基礎控除95万円+給与所得控除65万円=160万円、2026年分(2026年1〜12月の収入)は特例措置により178万円が非課税ラインとなっています(2026年4月時点)。税制は今後も変更される場合があるため、最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。
なお、住民税の基礎控除は据え置きのため、所得税の非課税ラインと住民税の課税ラインは異なります。住民税については次の項目で確認しましょう。
参考:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
住民税(地方税)
都道府県・市区町村に納める税金です。所得税と異なり、前年の収入をもとに翌年度に課税されるという1年遅れの仕組みがあります。
高校生のアルバイトで住民税がかかるラインは、前年の合計所得金額が45万円超(給与収入100万円超が目安・自治体によって異なる)です。年収100万円を超えると翌年に住民税の請求が来る可能性があります。
所得税は今年の収入に今年かかり、住民税は今年の収入に来年かかります。この1年の時間差が混乱のもとになりやすいため、事前に把握しておくことが大切です。
親の扶養に入っている場合、何が変わるの?
高校生のアルバイト収入が増えると、本人の税金だけでなく親の税金にも影響するという事実を知らないと、家族全体での思わぬ損失につながります。
扶養控除とは何か
親が子どもを「扶養している」と認められると、親の所得税・住民税の計算において「扶養控除」という一定額を収入から差し引けます。控除額は子どもの年齢によって異なります。
- 16歳以上18歳以下(高校生年代):一般扶養親族として所得税38万円・住民税33万円の控除
- 19歳以上23歳未満(大学生年代):特定扶養親族として所得税63万円・住民税45万円の控除
この控除がなくなると親の課税所得が増え、税率によっては年間数万円〜十数万円の税負担増になる可能性があります。
扶養から外れるライン
2025年の税制改正により、扶養親族の合計所得金額の要件が48万円以下から58万円以下(給与収入換算で123万円以下)に引き上げられました。高校生(16〜18歳)のアルバイト収入が123万円を超えると、親の扶養控除(38万円)が適用されなくなります。
なお19歳以上23歳未満の大学生年代については「特定親族特別控除」が新設され、年収123万円超〜188万円以下の範囲でも段階的に控除が受けられるようになっています。高校生はこの特定親族特別控除の対象外のため、123万円が扶養の上限ラインです。
バイトを始めたら年収の管理を親と一緒に行い、123万円に近づいてきたタイミングで相談することが、家族全体の税負担を抑えるための重要なポイントです。ただし、税制は毎年改正される可能性があります。最新情報は国税庁公式サイトで確認するようにしてください。
参考:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
「年収の壁」とは?バイトと税金の関係をわかりやすく解説
年収の壁という言葉はよく聞かれますが、超えたらどうなるかを正確に理解している人は意外と少ないです。超えたら絶対ダメという思い込みと、超えても大丈夫という誤解の両方が存在します。正確な知識で正しく判断できる状態を目指しましょう。
「年収の壁」を超えると、子どもと親にどんな影響が出るか
税制改正により「年収の壁」のラインが変わりました。現在の制度をもとに整理します。
子ども本人への影響(所得税)
所得税の非課税ラインは年々引き上げられています。
- 2025年分(2025年1〜12月の収入):基礎控除95万円+給与所得控除65万円=160万円以下が非課税
- 2026年分(2026年1〜12月の収入):基礎控除104万円+給与所得控除74万円=178万円以下が非課税
たとえば2026年分で年収190万円の場合、178万円を超えた12万円が課税対象となり、所得税率5%が適用されると約6,000円の所得税が発生します。
なお住民税については改正がなく、年収100万円超で課税される場合があります。
参考:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
親の扶養控除への影響
2025年分から、扶養親族の所得要件が合計所得金額58万円以下(給与収入換算で123万円以下)に変更されました。子どもの年収が123万円を超えると、親が受けていた扶養控除の対象から外れます。
また19歳以上23歳未満の子どもについては「特定親族特別控除」が新設され、年収123万円超〜188万円以下の範囲でも段階的に控除を受けられる仕組みになっています。高校生(16〜18歳)はこの特定親族特別控除の対象外のため、123万円が扶養の上限ラインです。扶養控除がなくなったときの親への影響は、子どもの年齢によって異なります。
| 子どもの年齢 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 16〜18歳(高校生) | 38万円 | 33万円 |
| 19歳以上23歳未満(大学生) | 63万円 | 45万円 |
たとえば高校生(16〜18歳)が扶養から外れた場合、親の所得税率が20%なら38万円×20%=約7.6万円の税負担増になります。住民税分も加えると合計で十万円前後の負担増になるケースがあります。
子どもが123万円を超えて稼いだことで、家族全体の税負担が増えるという逆転現象が起きる可能性があることを、事前に親子で認識しておくことが重要です。
年収160万円(所得税)・123万円(扶養控除)を超えたら必ず損をするわけではない理由
壁を超えたら絶対損という理解は正確ではありません。家族全体のお金の流れで計算することが、正しい判断の基準です。
たとえば子どもが年収140万円を稼いだとします。年収123万円を超えたことで親の扶養控除がなくなり、仮に親の税負担が10万円増えたとしても、子どもが追加で稼いだ17万円(140万円−123万円)がそれを上回る場合があります。
判断の基準は「123万円を超えて稼いだ金額 > 親の税負担増 + 子ども本人の所得税・住民税」です。この計算がプラスであれば、家族全体としてはプラスになります。壁を超える前に親子で話し合って確認することが、最も合理的な対応です。
年収の壁はあくまでも一つの目安であり、超えたら絶対ダメではありません。ただし超えると親の税負担に影響が出るため、事前に相談することが大切です。
「年収の壁」を超えると、子どもと親にどんな影響が出るか
2025年の税制・社会保険改正により、「年収の壁」のラインが大きく変わっています。混同しやすい3つの制度を整理します。
所得税の壁(本人の税金の話)
所得税がかからないラインは、2025年分は年収160万円(基礎控除95万円+給与所得控除65万円)、2026年分は年収178万円(基礎控除104万円+給与所得控除74万円)に引き上げられています。
扶養控除の壁(親の税金の話)
2025年分から、親の扶養控除が外れるラインは年収123万円超(合計所得金額58万円超)に変更されています。19歳以上23歳未満の子どもについては「特定親族特別控除」が新設され、年収188万円以下まで段階的に控除が受けられる仕組みになりました。高校生(16〜18歳)はこの特定親族特別控除の対象外のため、123万円が上限ラインです。
130万円の壁(社会保険の話)
子どもの年収が130万円を超えると、親の健康保険の扶養から外れる可能性があります。扶養から外れると、子ども自身が国民健康保険または勤め先の健康保険に加入して保険料を払う必要が生じます。健康保険料の負担は年間数十万円規模になることもあります。
なお2025年10月以降、19歳以上23歳未満については年収150万円未満であれば社会保険の扶養に入れるよう要件が緩和されています。
また2026年10月には賃金要件(月額8.8万円以上)が撤廃される予定で、週20時間以上勤務すれば年収にかかわらず社会保険加入となる見込みです(詳細は加入している健康保険の窓口または社会保険労務士にご確認ください)。
3つの壁の比較表
| 所得税の壁 | 扶養控除の壁 | 130万円の壁 | |
|---|---|---|---|
| 関係する制度 | 所得税 | 扶養控除(親の税金) | 健康保険の扶養 |
| 2025年分のライン | 年収160万円 | 年収123万円(19歳以上23歳未満は最大188万円) | 年収130万円(19歳以上23歳未満は150万円) |
| 2026年分のライン | 年収178万円 | 同上 | 同上 |
| 影響を受ける人 | 子ども本人 | 親(扶養控除が外れる) | 子ども(保険料負担が生じる) |
| 影響の大きさ | 子どもの所得税発生 | 親の税負担増(数万〜十数万円) | 子どもの保険料負担(数十万円規模) |
※税制・社会保険制度は今後も変更される場合があります。最新情報は国税庁・厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
高校生が確定申告をしなければならないケースとは
「年末調整」と「確定申告」はどう違う?高校生に関係するのはどっち?
年末調整と確定申告、どちらをすればいいのかという混乱は多くの高校生・親御さんが感じるポイントです。2つは似ているようで、対象者・手続きをする主体・目的が異なります。
年末調整とは
会社・アルバイト先が従業員の代わりに、1年間の正確な税額を計算して精算する手続きです。毎月源泉徴収された税金の合計と正確な年税額の差を、給与の支払い者(会社・アルバイト先)が調整してくれます。
多くの場合、12月の給与で精算され、払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)という形になります。アルバイト先が年末調整をしてくれる場合、自分で確定申告をする必要はありません。
確定申告とは
自分自身で1年間の収入・控除を計算して税務署に申告する手続きです。年末調整が行われない場合や、複数の収入源がある場合に必要になります。還付申告(払いすぎた税金を取り戻すための申告)は、翌年1月1日から5年間いつでも提出できます。
アルバイト先が年末調整をしてくれるなら自分でする必要はありません。してくれない場合や複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、自分で確定申告が必要になります。この整理をしておくだけで、多くの混乱は解消されます。
掛け持ちバイトや短期バイトで確定申告が必要になるパターン
高校生が確定申告を自分でしなければならない主なケースを整理します。
掛け持ちでアルバイトをしている
2か所以上のアルバイト先から給与を受け取っている場合、メインのアルバイト先では年末調整が行われますが、サブのアルバイト先の収入は年末調整に含まれません。合算した収入に基づいた正確な税額を計算するために、確定申告が必要になります。
年の途中でアルバイトを辞めた(または辞めさせられた)
年の途中でアルバイトを辞めた場合、その年の年末調整が行われないままになることがあります。この場合、確定申告をすることで払いすぎた税金(源泉徴収された税金)が還付されるケースが多いです。
アルバイト先が年末調整を行わない・行い忘れた
小規模な事業者や個人経営のアルバイト先では、年末調整が適切に行われていないケースがあります。給与明細を確認して年末に調整がなかった場合は、自分で確定申告をする必要があります。
年収が160万円以下で源泉徴収されていた
2025年分は年収160万円以下、2026年分は年収178万円以下であれば本来所得税はゼロですが、毎月の給与から少額の所得税が引かれていることがあります。この場合、年末調整または確定申告をすることで引かれた税金が還付されます。申告しなければ損をするという典型的なケースです。
確定申告のやり方・必要なものを親子でチェックするポイント
確定申告の手順を知っておくことで、いざというとき慌てない状態が作れます。難しそうに見えますが、給与所得のみのシンプルなケースならスマホで30分程度で完了することが多いです。
必要なもの
- 源泉徴収票(アルバイト先から発行・複数の場合はすべて必要)
- マイナンバーカード(またはマイナンバー通知カード+本人確認書類)
- 還付金を受け取る本人名義の銀行口座情報
- 勤労学生控除を申請する場合は学生証など
申告の流れ
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
- 源泉徴収票の数字を入力する
- 控除の適用(基礎控除・勤労学生控除など)を確認する
- 申告書が自動計算される
- e-Taxでオンライン提出する(マイナンバーカードが必要)または印刷して郵送・持参する
- 還付金が指定口座に振り込まれる(申告後数週間〜1か月程度)
参考:国税庁「確定申告特集」
親子で確認すべき3つのポイント
アルバイト先は年末調整をしてくれるか・複数のアルバイトを掛け持ちしているか・年収は各ラインを超えるかという3点を年内に確認しておくことで、年明けに慌てずに対応できます。
| 確認ポイント | ライン |
|---|---|
| 所得税の非課税ライン | 2025年分160万円・2026年分178万円 |
| 扶養控除が外れるライン | 123万円(高校生年代) |
| 社会保険の扶養が外れるライン | 130万円(19歳以上23歳未満は150万円) |
源泉徴収票は必ずもらっておきましょう。確定申告に必要であり、紛失すると再発行の手続きが必要になります。
※税制は変更される場合があります。最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。
まとめ:年収の壁・確定申告を理解して、親子で実践的なお金教育を
この記事では、高校生のアルバイトと税金の基本・所得税の非課税ライン・扶養控除が外れるライン・社会保険の壁・確定申告が必要なケースと手順まで整理してきました。
給与明細を一緒に見てみようかという一言が、税金・控除・確定申告という実践的な知識を体験から学ぶ最初のきっかけになります。難しく構えず、次の給与明細が届いたタイミングから始めてみましょう。





