正直に言います。10年以上、子どもたちの勉強を見てきて、私はずっと何か大切なことを教えられていないという感覚を拭えませんでした。
成績は上がる。志望校にも合格する。でも、卒業した教え子が社会に出て、給料明細の見方がわからない、クレジットカードの仕組みを知らないまま使っていたと悩んでいるのではないか。そう考えると、塾で教えてきたことの外側に、もっと大切な何かがあると感じていました。
そして、その大切な何かの重さを誰よりも痛感していたのは、ほかでもない私自身です。私は学生時代、お金の知識がないまま甘い話に乗り、大きなお金を失った経験があります。
HORI塾+は、教育現場で感じてきた違和感と、自分自身の失敗、そして必死の学び直しから生まれました。塾講師として10年以上働く中で気づいた学校教育・塾教育の盲点、私自身のお金の失敗とそこから金融教育にたどり着くまでの歩み、そしてHORI塾+を立ち上げた動機とこれから親子に届けていきたいことを、飾らずに書きます。
このサイトがなぜ存在しているのか、その理由が伝わればうれしいです。共感してくださる方がひとりでもいれば、それだけで書いた甲斐があります。
塾講師歴10年以上で気づいたお金の教育の空白地帯
10年以上子どもたちと向き合う中で、ひとつの問いがずっと頭を離れませんでした。私は子どもたちに、本当に必要なことを教えられているだろうかという問いです。勉強を教えることには自信がある。でも生きていく力という意味では、何かが足りない——そう感じ続けていました。
「点数を上げること」が正義だと思っていたころ
塾講師になりたてのころの私は、テストの点数を1点でも上げ、志望校に合格させることこそが最大の使命だと信じていました。公式や英単語を効率よく教え、一人でも多くの生徒の偏差値を上げる。それがその子の幸せに直結すると、疑いもしなかったのです。
そんなある日、一人の生徒にこう聞かれました。
「先生、微分積分なんて将来使わないのに、なんでこんなに必死に勉強しなきゃいけないの?」
私は「論理的な思考力が身につくからだよ」という、大人としてのきれいな建前でしか答えられませんでした。そのときの生徒の冷めた視線は、今でも胸に残っています。この小さな問いかけが、学校の勉強の先に、本当に幸せに生きるための知恵はあるのかと自分に問い直すきっかけになりました。
成績は上がっても「生きるお金の力」は誰も教えてくれない
塾は、正直なところテストの点を上げることが主な仕事です。それ自体は間違っていませんし、私もそのために全力を注いできました。
ただ、10年以上続けていると見えてくるものがあります。中学生のとき一緒に方程式を解いた子が、20代になって給料から何が引かれているのか分からないと悩む。高校受験を乗り越えた教え子が、奨学金を借りたけど利息の仕組みを理解していなかったと後悔する。偏差値の高い大学へ進み、安定した会社に就職しても、お金の扱いに困っている大人は現実にたくさんいます。
お金を稼いで、使って、貯めて、増やすという、生きていく上で避けて通れない力は、誰も体系的に教えてきませんでした。これは塾だけでなく、学校も家庭も同じです。数学で利息の計算方法は習っても、なぜリボ払いが危険なのか、なぜNISAが今注目されているのかに答えられる大人が、子どもの周りにどれだけいるでしょうか。
お金の話=タブーが、知識の格差と知らないだけで損を生んできた
日本では長い間、お金の話を公の場でするのは品がないとされてきました。この感覚は今も根強く、学校でも家庭でもお金のことはあまり表立って話さない雰囲気があります。生きていく上で必要な知識が、タブーとして教育の外側に置かれてきたのです。
私が特に問題だと感じるのは、この空白が知識の格差を静かに広げてきた点です。お金の知識は家庭環境によって大きく差がつきます。親がお金について率直に話せる家庭の子と、一切話題にしない家庭の子とでは、社会に出たときのスタートラインが違います。勉強の格差は塾で縮められても、お金の知識の格差は誰も縮めようとしてこなかったのです。
日本でも高校の家庭科で資産形成を学ぶようになりましたが、まだ十分とは言えません。子どもたちは、いわば盾も剣も持たずに経済社会へ送り出されているようなものです。そして、知識のない若者ほど甘い儲け話や返済計画のないローン、巧妙な投資詐欺のターゲットにされます。これらの多くは、正しい知識という守りがあれば防げたはずのものです。知っている人だけが守られ、知らない人が損をし続ける。この状況を、教育の力で少しでも変えたいと考えています。
勉強ができても、お金のことはわかっていなかった——私自身の失敗と学び直し
偉そうに金融教育を語っている私ですが、実は過去に、思い出すだけで恥ずかしくなるようなお金の失敗をしています。この経験こそが、今の活動を動かすエンジンです。
大学生のころ、「楽に稼げる」という話に乗って数十万円を失った
大学生になり、少しばかりの自由なお金と好奇心を持っていたころのことです。SNSで見かけた「スマホ一台で月収100万円」「自由なライフスタイル」といった言葉に、私はすっかり心を奪われてしまいました。自分は少しは賢いほうだという根拠のない自信があり、自分なら成功できると信じ込んでいたのです。
中身の薄い高額なブログ教材を買い、人を紹介すれば報酬が入るという、今思えば典型的な怪しいビジネスにも手を出しました。結果、学生にとっては大金である数十万円を失いました。残ったのは空っぽの財布と、なんてバカだったんだという自分への深い失望だけでした。
学校の成績が良くても、お金の守り方や見極め方はまったくの別物です。世の中の仕組みを知らないまま社会に出ることの怖さを、身をもって知りました。同じ失敗を、これから社会に出る子どもたちにはさせたくない——この思いが、私の原点です。
FPの勉強と数百冊の本で、ようやくお金の全体像が見えた
自分はあまりにも無知だったという反省から、私はお金の勉強を始めました。誰かに教えるためではなく、まずは自分の人生を立て直すためです。
最初に取り組んだのは、FP(ファイナンシャルプランナー)の勉強です。家計・税金・保険・資産運用といった社会のルールを順序立てて学ぶ中で、自分がどれほどあいまいな知識で生きてきたかを思い知らされました。資格の勉強だけでは足りず、経済の本や投資の古典、起業家の自伝など、数百冊の本も読み漁りました。
そうするうちに、バラバラだった知識が少しずつつながり、世の中のお金がどう動いているのかという全体像がようやく見えてきました。どんなに良い学校に行っても、どんなに一生懸命働いても、お金の知恵がなければ今の社会を豊かに生き抜くことは難しい。教育の現場に足りなかった最後のピースは金融教育だ——そう確信した瞬間でした。
子どものお金教育を親が教えられない理由——家庭で起きていること
塾の保護者面談で「お金の話、家でどうされていますか?」と聞くと、多くの親御さんが少し困った顔をします。「うちは全然できていなくて」「どこから話せばいいか分からなくて」という答えがほとんどです。関心がないわけではありません。でも何かが邪魔をして、踏み出せずにいる。その正体を、少し丁寧に考えてみます。
「自分もよくわからないから教えられない」と感じている親が多数派
保護者の方から多く聞くのが、「正直、自分もよく分かっていないので教えられないんです」という言葉です。これは恥ずかしいことではなく、むしろ正直な気持ちだと受け取っています。
今の40代・50代の親御さんが学生だったころ、金融教育はほとんどありませんでした。家庭でもお金の話はタブー視され、体系的に学ぶ機会がないまま社会に出た方がほとんどです。ある日子どもに「NISAって何?」と聞かれて、初めて自分もよく分かっていないと気づく——そんなケースは珍しくありません。
私自身、学生時代に失敗し、このサイトを始めるにあたっても一から学び直した部分がたくさんあります。だから自分もよく分からないという親御さんに伝えたいのは、それは当然で、だから一緒に学べばいいということです。「これってどういう仕組みなんだろうね、一緒に調べてみようか」という姿勢こそが、大切なお金の教育になると考えています。
お金の話をすることへの罪悪感と照れが壁になる
知識とは別に、心理的な壁を感じている親御さんも多くいます。「お金のことを話すと子どもが心配するのではないか」「生々しい話をするのはかわいそう」という罪悪感と、なんとなく照れる感覚が重なり、話題を避けてしまうのです。
この気持ちは、私も親としてよく分かります。でも、子どもはいつか必ず社会に出て、お金の問題に向き合います。給料明細の見方、クレジットカードの仕組み、保険の選び方、老後のための積み立て——どれも知っているかどうかで人生の選択肢の数が変わるテーマです。そのとき初めて向き合うより、日常の中で少しずつ慣れておくほうが、子ども自身にとって楽なはずです。
お金の話は汚い話でも怖い話でもありません。社会の仕組みの話であり、自分の未来をどう設計するかという話です。そう捉えられると、罪悪感や照れの壁は少しずつ薄れていきます。
資産形成に関心はあるのに「まず子どもに何を伝えればいい?」がわからない
資産形成に関心を持ちながらも、子どもにどう伝えればいいか分からないという声は、保護者の方からよく聞きます。NISAを始めたり老後のことを考え始めたりして、自分自身の資産形成には取り組んでいても、それを子どもにどう伝えるかは別の悩みとして残ってしまうのです。
お金の話はどこからでも始められるからこそ、どこから始めればいいか分からないという状況が生まれます。NISAを説明するには税金の仕組みが必要で、その前にはお金はどこから来るかという話があって——と考えるうちに話が芋づる式に広がり、結局何も話せないまま時間が過ぎてしまうことも少なくないようです。
HORI塾+が目指しているのは、この入り口を作ることです。難しい概念を最初から体系的に解説するのではなく、日常のこれって何だろう?に答えながら、少しずつお金の地図を広げていきます。
HORI塾+を始めた理由——塾講師だからこそ見えた教え方の答え
お金の教育が必要だという問題意識は、多くの人が持っています。私がHORI塾+を始めた理由は、それだけではありませんでした。塾講師として積み重ねてきた教え方の経験が、そのままお金の教育に使えると気づいたからです。
勉強を教えるノウハウが、お金の教育にも使えると気づいた理由
その気づきは、ひとつの出来事というより、長く塾講師を続ける中でいくつもの経験が積み重なった結果でした。保護者の方から、子どもにお金の仕組みを説明しようとしてもうまく伝わらないという話を聞くことがあります。そうした場面で、たとえ話を使って説明し直すと、かえって理解が進むということを、これまでの指導の中で何度も感じてきました。
そこで気づいたのは、伝わらないのは内容が難しいからではなく、伝え方の問題であることが多いという点です。塾で数学や国語を教えるとき、私が時間をかけてきたのは、どう説明すれば伝わるかです。難しい概念をどんなたとえに置き換えるか、どの順番で示すか、どこで例題を入れるか。この思考プロセスは、お金の教育にもそのまま使えると考えています。
親子で一緒に学ぶ形式にこだわる理由
HORI塾+は、親子で学ぶという形式にこだわっています。子どもだけに教えるのでも、親だけが学ぶのでもなく、親子が同じコンテンツを見ながら一緒に考える形です。
塾で長く働いていると、勉強の習慣や学力に大きく影響するのは家庭の雰囲気だと感じるようになります。親が本を読む家庭の子は本を読み、親が勉強を大切にする家庭の子は勉強を大切にする傾向があります。知識よりも、日常で何が当たり前として扱われているかが、子どもの価値観をつくるのではないかと考えています。
お金の教育も同じだと思います。お金についてオープンに話せる家庭で育った子は、社会に出ても自然にお金と向き合えるはずです。逆にお金の話をしない家庭で育つと、初めてお金の問題に直面したとき、誰にも相談できずに困りやすくなるかもしれません。だから私は、親が子どもに教える教材ではなく、親子が一緒に考えるきっかけになるコンテンツを作りたいと考えています。
「現役塾講師が教える」からこそのわかりやすさと継続性
お金の情報はインターネット上にあふれています。でも、わかりやすい、続けて読める、子どもに伝えられるの3つがそろったコンテンツは、多くありません。HORI塾+で意識しているのは、まさにこの3点です。
わかりやすさとは、難しい言葉を使わずに説明できるか、具体的なたとえを使えているか、順番は適切かということです。毎日の授業で意識してきたことそのままです。継続性については、塾は1回で全部教える場所ではなく、少しずつ積み上げる場所だと考えています。このサイトも、少しずつ難しい内容に進む設計にしています。子どもに伝えられるかという点では、保護者の方が読んで、そのまま子どもに話せるかを、私の中での合格ラインにしています。
現役で塾を経営しながらサイトを作るのは、体力的にきつい部分もあります。それでも、今現場で子どもたちと向き合っているからこそ書ける内容があると実感しています。
HORI塾+で届けたいのは、点数ではなく自立して生きる力
テストで100点を取ることより、自分の給料でどう生活をやりくりし、手元のお金をどう守り、どう増やすかを知っていることのほうが、長い人生では大切です。偏差値という物差しを一度脇に置き、自立して生きるために欠かせない知恵を正面から伝えていきたいと考えています。
私が伝えたい金融教育は、単なる投資の手法ではありません。自分の価値をどう仕事に変えるか、将来どんなキャリアを描きたいかといった、人生全体の設計まで含めたものです。『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』などのエッセンスも取り入れながら、今の時代を生き抜くための生きた知識を届けていきます。
その根っこにあるのは、同じ思いをする子を減らしたいという気持ちです。私がお金を失ったときの絶望感と、知っていれば防げたという後悔を、今の子どもたちに味わわせたくはありません。泥くさい失敗と学び直しの経験があるからこそ、耳ざわりの良い理想論ではない、痛みに寄り添った教育ができると信じています。
まとめ|HORI塾+は、失敗と学び直しから生まれた親子でお金を学ぶ場所
HORI塾+は、塾講師として感じてきた限界と、私自身のお金の失敗から生まれました。成績は上げられても、生きていくために本当に必要な力を届けるには、塾だけでは足りない。その問いへの答えが、このサイトです。
お金の教育を難しく考える必要はありません。今日のニュースにこんな言葉が出てきたねという日常の小さな会話の積み重ねが、子どものお金への感覚を育てます。
私は完璧な成功者ではなく、失敗し、迷い、学び直してきた一人の人間です。今もFP2級の取得に向けて勉強しながら、記事を書き続けています。親子と同じ目線で一緒に学んでいく過程そのものが、このサイトの価値だと思っています。これからも、どうぞよろしくお願いします。


