子どものアルバイトは何歳から?家庭でのルール作り

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堀 智紀(塾長)|現役学習塾経営者・FP3級取得。宮崎市で「15歳からはじめるお金の勉強」をコンセプトにHORI塾+を運営。
教育者という中立の立場から、お金の知識を発信しています。

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「高校生になったらアルバイトをしてみたい」——子どもからこう言われたとき、うれしさと同時に、不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。

アルバイトは、働いてお金を得る経験を通じて、社会の仕組みやお金の価値を実感できる貴重な機会です。一方で、子どもが働ける年齢や時間帯は法律で細かく決められており、学校の校則や、扶養に関わる収入の基準など、事前に確認しておきたいことも少なくありません。何も決めないまま始めてしまうと、勉強との両立が難しくなったり、思わぬトラブルにつながったりすることもあります。

子どものアルバイトが何歳からできるのかという法律の基本と、始める前に家庭で決めておきたいルールを整理します。あわせて、アルバイトで得たお金を、親子でお金について学ぶ機会にする方法もお伝えします。

子どものアルバイトは何歳からOK?法律で決まっている年齢制限の基本

子どものアルバイトについて考えるとき、まず確認しておきたいのが、法律で決まっている年齢や働き方のルールです。ここでは、労働基準法が定める年齢の基本と、18歳未満に適用される労働時間のルール、働く前に必要な手続きを整理します。

原則は中学校卒業後から——労働基準法の年齢のルール

アルバイトができる年齢について、15歳から働けると思っている方も多いかもしれません。しかし、労働基準法第56条では、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでは、原則として働かせてはならないと定めています。

つまり、15歳の誕生日を迎えた時点で働けるようになるのではなく、原則として中学校を卒業した後の4月1日から、アルバイトができるようになるということです。多くの場合、高校1年生になる春からが、アルバイトを始められる時期の目安になります。

ただし、例外もあります。新聞配達などの工業的事業以外の仕事では、満13歳以上の子どもについて、健康や福祉に有害でない軽易な仕事に限り、労働基準監督署長の許可を受けた上で、学校の授業時間外に働くことが認められています。また、映画の製作や演劇の仕事については、満13歳未満の子どもでも同様の許可を受けて働くことができます。

  • 原則:中学校を卒業するまでは働けない
  • 例外:満13歳以上で、工業的事業以外の軽易な仕事に限り、労働基準監督署長の許可を受けた場合
  • 例外:映画や演劇の仕事は、満13歳未満でも許可を受けた場合

こうした例外は、一般的な飲食店やコンビニなどのアルバイトとは別の扱いです。中学生が一般的なアルバイトをすることは、原則としてできないと考えておきましょう。

参考:高校生等を使用する事業主の皆さんへ~ 年少者にも労働基準法等が適用されます!

18歳未満の高校生に適用される労働時間・深夜業のルール

中学校を卒業すればアルバイトができるようになりますが、18歳未満の高校生には、大人とは異なる働き方のルールが適用されます。労働基準法では、18歳未満の人を年少者とし、健康や学業を守るためにいくつかの制限を設けています。

主なルールとしては、次のようなものがあります。

  • 午後10時から午前5時までの深夜に働くことは、原則として禁止されている
  • 1日8時間、1週40時間を超える時間外労働や、休日労働は原則としてできない
  • 危険な作業や、重い物を扱うなどの有害な業務に就くことは制限されている

特に深夜業の禁止は、高校生のアルバイトで意識しておきたいルールです。飲食店やコンビニなど、夜遅くまで営業している職場でも、18歳未満の場合は、原則として午後10時以降に働くことはできません。

アルバイト先を選ぶときや、シフトを相談するときは、これらのルールが守られているかを親子で確認しておきましょう。職場から深夜のシフトや長時間の勤務を求められた場合は、法律で認められていない可能性があります。

年齢証明書・保護者の同意など、働く前に必要な手続き

18歳未満の子どもがアルバイトを始めるときは、いくつかの手続きが必要になります。

まず、労働基準法第57条では、18歳未満の人を雇う事業場に対して、年齢を証明する書類を備え付けることを求めています。そのため、アルバイト先から住民票記載事項証明書などの提出を求められることがあります。

また、未成年者が労働契約を結ぶには、民法上、親権者の同意が必要です。そのため、多くのアルバイト先では、採用の際に保護者の同意書の提出を求めています。2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられたため、18歳以上であれば法律上は親の同意は不要ですが、高校生の場合は、アルバイト先や学校の方針で同意書を求められることもあります。

あわせて、親として知っておきたいルールもあります。

  • 親が子どもに代わって労働契約を結ぶことはできない
  • 子どもにとって不利な労働契約は、親権者などが将来に向かって解除できる
  • 給与は子ども本人が受け取るもので、親が代わりに受け取ることはできない

親の同意は、子どものアルバイトを見守るための大切な手続きです。同意書に記入する前に、仕事の内容や勤務時間、職場の環境などを親子で一緒に確認し、納得した上で送り出すようにしましょう。次の章では、親が感じる不安と、事前に確認しておきたいことを整理します。

参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索

「うちの子にアルバイトはまだ早い?」親が感じる不安と確認すべきこと

法律上はアルバイトができる年齢になっても、実際に始めさせるかどうかは、家庭ごとに判断が分かれるところです。ここでは、親が感じやすい不安を整理しながら、アルバイトを始める前に確認しておきたいことを見ていきます。

勉強との両立が崩れるのでは?という心配を整理する

子どものアルバイトについて、親が真っ先に心配することの一つが、勉強との両立です。シフトに入る時間が増えれば、その分だけ勉強や睡眠に使える時間は減っていきます。特に高校生は、定期テストや課題、部活動などで忙しい時期でもあり、アルバイトが加わることで生活のバランスが崩れてしまうことがあります。

ただし、アルバイトをすること自体が、必ずしも学業に悪影響を与えるわけではありません。心配を整理するために、次のような点を確認してみましょう。

  • 週にどのくらいの時間であれば、勉強や部活動と無理なく両立できそうか
  • 定期テスト前や受験期には、シフトを減らしたり休んだりできる職場か
  • 子ども自身が、アルバイトと勉強の優先順位をどう考えているか

漠然とした不安のままでは、まだ早いと反対するか、何も決めないまま始めさせるかのどちらかになりがちです。具体的な時間や時期に置き換えて考えることで、どのような条件なら両立できるのかが見えてきます。

学校の校則でアルバイトが禁止・許可制になっていないか確認する

アルバイトを始める前に、家庭のルールよりも先に確認しておきたいのが、学校の校則です。高校によっては、アルバイトを禁止していたり、学校への届け出や許可を必要としていたりする場合があります。

確認しておきたい主な点は、次のとおりです。

  • アルバイトが認められているか、禁止されているか
  • 許可制の場合、どのような手続きや条件が必要か
  • 長期休暇中のみ認められているなど、期間の制限があるか
  • 成績や出席状況によって、許可が取り消される条件があるか

校則を確認しないままアルバイトを始めると、学校から指導を受けたり、場合によっては処分の対象になったりすることもあります。また、家庭の経済的な事情などで働く必要がある場合は、許可の対象になることもあるため、まずは担任の先生や生徒手帳で確認してみましょう。

子どもがアルバイトをしたいと言い出したときの親の心構え

子どもが「アルバイトをしたい」と言い出したとき、すぐに賛成や反対を決めるのではなく、まずは理由を聞くことから始めましょう。欲しい物があるのか、進学資金を貯めたいのか、社会経験を積みたいのかによって、働き方やルールの決め方も変わってきます。

話を聞くときは、次のような点を意識すると、親子で前向きに話し合いやすくなります。

  • なぜ働きたいのか、稼いだお金をどう使いたいのかを、子ども自身の言葉で話してもらう
  • どんな仕事をしたいのか、どこで働きたいのかを一緒に考える
  • 職場の雰囲気や、一緒に働く人の年齢層なども、可能な範囲で確認する

職場での交友関係について心配な場合も、頭ごなしに反対するのではなく、どんな人と働くことになるのかを一緒に確認したり、困ったことがあればすぐに相談するよう伝えたりすることが大切です。

アルバイトは、子どもが家庭や学校の外で、大人と一緒に働く初めての経験になることが多いものです。親としては不安もありますが、子どもの意欲を受け止めた上で、安全に働くための条件を一緒に整えていく姿勢が、子どもの成長を支えることにつながります。次の章では、アルバイトを始める前に家庭で決めておきたいルールを紹介します。

子どものアルバイト前に家庭で決めておくべきルール

法律や校則の確認ができたら、次は家庭の中でのルールを決めていきます。働き始めてから決めるのではなく、始める前に親子で話し合っておくことで、後からのすれ違いを防ぐことができます。ここでは、働き方、収入、トラブル時の対応の3つの観点からルールを整理します。

シフト・帰宅時間・学業優先ラインを親子で事前に決める

アルバイトを始めると、シフトの入り方や帰宅時間など、生活のリズムが大きく変わります。働き始めてから調整しようとすると、職場の都合に流されやすくなるため、事前に親子で基準を決めておくことが大切です。

決めておきたいルールとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 週に働く日数と、1回あたりの勤務時間の上限
  • 帰宅時間の目安と、遅くなる場合の連絡方法
  • 定期テストの前や受験期には、シフトを減らす、または休む期間
  • 成績や生活に影響が出た場合に、働き方を見直すタイミング

特に大切なのが、学業を優先するラインをはっきりさせておくことです。たとえば「テストの2週間前はシフトに入らない」「成績が一定以上下がったら、働く時間を減らす」といった形で、具体的に決めておくと、子ども自身も判断しやすくなります。

決めたルールは、アルバイト先に伝えておくことも忘れないようにしましょう。面接の段階で、テスト期間に休みたいことや、働ける時間帯を伝えておくと、後からシフトの相談がしやすくなります。

なお、帰宅時間を決める際は、18歳未満は原則として午後10時以降に働けないことに加え、勤務後の移動時間も含めて考えておくと安心です。また、都道府県の青少年健全育成条例では、18歳未満の深夜の外出について定めている場合もあるため、住んでいる地域のルールもあわせて確認しておきましょう。

いくらまで稼いでいい?扶養に関わる年収の壁の基本

子どもがアルバイトで収入を得るようになると、親の税金や社会保険に影響が出る場合があります。いわゆる「年収の壁」と呼ばれるもので、事前に知っておかないと、思わぬ負担増につながることがあります。

まず、親の所得税に関わるのが扶養控除です。16歳以上の子どもを扶養している場合、親は所得税の計算で扶養控除を受けることができます。扶養親族として認められる子どもの所得の基準は、2年続けて税制改正で引き上げられており、2026年分は合計所得金額62万円以下(2025年分は58万円以下)になりました。給与収入だけの場合、2026年は年収136万円以下であれば、親は引き続き扶養控除を受けられることになります。

あわせて確認しておきたいのが、健康保険の扶養です。親の勤務先の健康保険に子どもが被扶養者として加入している場合、子どもの年間収入が130万円以上になると、扶養から外れる可能性があります。2026年4月からは、給与収入のみの場合、労働条件通知書などの契約内容から見込まれる年収で判定されるようになりました。詳しい基準や判定の方法は、親が加入している健康保険の窓口に確認しておきましょう。

  • 親の扶養控除:子どもの給与収入が年136万円以下(2026年分)であれば、引き続き受けられる
  • 健康保険の扶養:子どもの年間収入が130万円以上になると、外れる可能性がある
  • 子ども本人の住民税:18歳未満の場合は、前年の合計所得金額が135万円以下なら非課税になるなど、年齢や収入によって扱いが異なる

高校生のアルバイトで、これらの基準を超えることは多くないかもしれません。ただし、長期休暇にシフトを増やしたり、複数のアルバイトを掛け持ちしたりすると、年間の収入が想定より多くなることもあります。税金の基準は1月から12月までに支払われた給与の合計で判定されることを親子で共有し、給与明細をもとに収入の合計を記録しておくと安心です。

トラブル発生時の連絡・相談ルートを家族で共有しておく

アルバイト先では、シフトの強制や給与の未払い、職場での人間関係など、思わぬトラブルが起きることもあります。子どもが一人で抱え込まないよう、困ったときにどう動くかを、あらかじめ家族で共有しておきましょう。

決めておきたいことは、次のとおりです。

  • 困ったことがあれば、まず家族に相談すること
  • 勤務先の店長や責任者の連絡先を、家族も把握しておくこと
  • シフト表や給与明細、職場とのやり取りの記録を保管しておくこと
  • 家族だけで解決が難しい場合の相談先を確認しておくこと

労働条件や給与に関するトラブルは、各地の労働基準監督署や総合労働相談コーナーで、無料で相談することができます。高校生や保護者からの相談も受け付けているため、いざというときの相談先として知っておくと安心です。

大切なのは、「何かあったら必ず話してほしい」と子どもに伝え、相談しても叱られないという安心感を持たせておくことです。次の章では、アルバイトで得たお金を、親子でお金について学ぶ機会にする方法を紹介します。

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

参考:労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて|日本年金機構

アルバイトをお金の教育に活かす!親子で学べる実践ステップ

アルバイトで初めて自分の力でお金を得る経験は、子どもにとって、お金について学ぶ貴重な機会です。ここでは、給与の管理の仕方、給与明細の読み方、そして働いて得たお金を将来につなげる考え方を、親子で実践できる形で紹介します。

初めての給与を貯める・使う・学ぶの3つに分けて管理する

初めての給与を受け取ると、欲しかった物を買いたい気持ちが先に立つものです。せっかくの給与を計画的に使えるよう、受け取ったら最初に、用途ごとに分けて管理する習慣をつけましょう。

分け方の一例として、次の3つが考えられます。

  • 貯める:進学資金や将来の目標のために、先に取り分けておくお金
  • 使う:欲しい物や友達との交際など、自由に使ってよいお金
  • 学ぶ:本や資格の勉強、体験など、自分の成長のために使うお金

割合は、アルバイトを始めた目的に合わせて親子で決めるとよいでしょう。進学資金を貯めることが目的であれば貯める分を多めに、社会経験が目的であれば使う分や学ぶ分にも余裕を持たせるなど、目的に応じて調整します。

ポイントは、給与を受け取ったら、まず貯める分を別の口座や封筒に移しておくことです。残ったお金でやりくりする先取り貯蓄の習慣を身につけておくと、社会人になってからの家計管理にもそのまま活かすことができます。

給与明細を一緒に読み、税金や天引きの仕組みを学ぶ

アルバイトの給与明細は、税金や社会保険の仕組みを学ぶための身近な教材です。初めての給与明細を受け取ったら、親子で一緒に内容を確認してみましょう。

給与明細は、大きく分けて次のような項目で構成されています。

  • 勤怠:出勤日数や勤務時間
  • 支給:基本給や交通費など、支払われる金額の合計
  • 控除:所得税など、給与から差し引かれる金額
  • 差引支給額:実際に受け取る金額(手取り)

高校生のアルバイトでは、収入が一定額より少なければ、所得税が差し引かれないことが多くあります。ただし、勤務先に扶養控除等申告書を提出していない場合や、掛け持ちのアルバイト先などでは、高めに計算された所得税が差し引かれることがあります。この場合でも、年間の収入によっては、年末調整や確定申告で払いすぎた税金が戻ってくる仕組みがあります。

また、高校生のアルバイトは、多くの場合、雇用保険や健康保険などの社会保険の加入対象にならないため、明細に社会保険料の項目が記載されないことも一般的です。社会人になると、ここに健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などが加わり、額面と手取りの差が大きくなることも、あわせて伝えておくとよいでしょう。

給与明細を一緒に読むことで、子どもは、働いた金額がそのまま手元に入るわけではないこと、税金や保険料が社会の仕組みを支えていることを、実感を持って理解できるようになります。

働いて得たお金の価値を、将来の資産形成につなげる

アルバイトで得たお金は、子どもにとって、自分の時間と労力を使って手に入れた初めてのお金です。だからこそ、その価値を実感しやすく、将来に向けたお金の使い方を考えるきっかけにもなります。

働いて得たお金の価値を伝えるときは、次のような問いかけが役立ちます。

  • 「この1万円を稼ぐのに、何時間働いた?」
  • 「この買い物は、何時間分の働きに相当する?」
  • 「貯めたお金を、将来どんなことに使いたい?」

自分の時間とお金を結びつけて考える経験は、買い物の判断を慎重にするだけでなく、お金を大切に扱う姿勢を育てることにつながります。

また、貯めたお金をどう育てていくかを考えることも、将来の資産形成の出発点になります。NISAは18歳以上が対象でしたが、2027年1月からは、18歳未満でもつみたて投資枠を利用できるこどもNISAが始まります。いきなり投資を始める必要はありませんが、預金や投資など、お金の置き場所にはそれぞれ特徴があり、投資には元本割れのリスクもあることを、アルバイトで貯めたお金を題材に話し合っておくと、成人後の判断に役立ちます。

働いてお金を得る、計画的に分けて使う、将来に向けて貯めて育てる。アルバイトは、この一連の流れを子どもが自分ごととして体験できる機会です。親子で振り返りながら進めることで、アルバイトの経験が、将来にわたって役立つお金の力につながっていきます。

※本記事は特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあるため、制度の詳細は金融庁の公式サイトなどで確認してください。

参考:NISA特設ウェブサイト:金融庁

まとめ:子どものアルバイトは、法律の確認と家庭のルール作りから始めよう

子どものアルバイトは、労働基準法により原則として中学校卒業後から可能になり、18歳未満は深夜業や時間外労働が原則として禁止されています。始める前には、法律に加えて学校の校則も確認し、保護者の同意の手続きを親子で丁寧に進めることが大切です。

働き始める前に、シフトや帰宅時間、学業優先のラインを決め、扶養に関わる年収の基準やトラブル時の相談先も共有しておきましょう。給与を貯める・使う・学ぶに分け、給与明細を一緒に読むことで、アルバイトは働いて得たお金の価値を実感し、将来の資産形成につなげる学びの機会になります。